1. はじめに
この記事はデジクリ2025後期企画「Advent Calendar2025企画」 4日目の記事です。デジクリは芝浦工業大学の創作サークルです。詳しくは芝浦工業大学 デジクリをご覧ください。
3日目の記事はさばみそさんのコンビニのシール印刷機能でステッカーを作ってみたです。
こんにちは。21stのyoppyです。もともと鉄道についてなにか書くつもりでしたが、予定を変更してお送りします。
突然ですが、皆さん「音MAD」って知ってますよね? 曲に合わせて音をハメていく、あれです。皆さんがどんなものを想像されたかはともかく、音MADを漁ると、誰かが単にしゃべったことを音程やリズムを合わせてボーカロイドのように歌わせているシーンを見かけることがあります。所謂「人力」ってやつです。この「人力」なんですが、意外と簡単に、しかも 無料(要審議) で出来ます。やり方はいろいろあり、デ民の中にはこの辺もっと詳しい方もおられると思いますが、今回は私なりの方法を紹介しようと思います。
2. 使用ソフト
①REAPER
音MAD制作に降れたことがある人なら知ってるんじゃないでしょうか。DAWソフトですが、その辺のDAWとは雰囲気がちょっと違います。まるで音MADをつくるために生まれてきたかのような便利機能がたくさんあります。しかも評価版が無料です。 評価版には60日の試用期間が設けられており、この間、すべての機能を使えます。しかし、この制限を無視して評価版で際限なくすべての機能使い続けられてしまうので、実質ずっと使えます。 なお、当方はしっかり個人用のライセンスを所有しております。一万円弱でDAWとしてはとても安いですが、音源やVSTプラグインは殆ど付属していないです。
VocalShifter
このソフトは基本無料で使うことのできるソフトです。音声ファイルの音程を解析し、さらに音程やタイミング、速度を編集することができるソフトです。本来ボーカルのピッチ補正に利用されるソフトですが、だからこそ使い方を誤れば(?)自分の声で遊ぶことができます。無料版は44.1kHz/16bitまでのWAVファイルにしか対応していませんが、まあゴリゴリにやるわけじゃないのでこれで十分です。一応2200円払えばフル機能を使えます。
MeldaProductionのVSTプラグイン
基本的なエフェクトが一通り入ったフリーのVSTプラグインバンドルがかなり強いです。ほかで見たことのない変なエフェクトもあり、遊びがいがあります。
3. 今回の素材
使用機材
オーディオインターフェイス:Steinberg IXO22
マイク:SHURE BATA58A
録音ソフト:REAPER
1.あ
2.葛飾区(かつしかく)
4. VocalShifterで作業
とりあえず音声ファイルをぶち込みます。
editor画面を開くとこんな感じです。 音声波形が表示されています。
ピッチを解析させると、このようになります。
ピッチ設定で音程をいじります。今回はすべてG3にしたので、G3の音の出る私が完成します。
5. 技術的なお話
フォルマントと音程
「フォルマント」という概念を知っていますか?簡単に言うと、音声の特徴を決める要素の一つです。フォルマントを変えずに音程を変えると、声質が変わらずに音程だけが変わります。今回はフォルマントを保持しているので、私の声に聞こえます。また、フォルマントは母音の特徴を決める要素なので、母音が変わるとフォルマントも変わります。逆に、フォルマントを変更してしまえば別の人の声、或いは母音に聞こえます。
また、「音程」は母音の高さで決まっています。逆に言えば子音は音程に影響しません。なので、母音の音程さえ変えてしまえば子音の音程は何でもいいわけです。
母音と子音
日本語は母音と子音からなっているので、「かつしかく」を例にとると、語毎に分けるとKa-Tu-Si-Ka-Kuなり、母音a,i,uと子音k,s,tに分けられます。ここで、母音要素だけを抜き出して、別の子音を付けたらどうなるでしょうか? 例えば、KaをKとaに分け、TuをTとuに分けます。
ここで、aとuを入れ替えて、KとTを付け直すと、KuとTaになります。このようにすると、発せられていない語を無理やり発声させられます。
え?そう聞こえないって?
まぁそれも無理なくて、実際我々が単に話すときは母音と子音を明確に分けて発声しているわけではないので、どうしても違和感が出てしまいます。あくまで「理論上」の話なのでね…
とにかく、何が言いたいのかというと極端に素材が少ない場合でも錬成することができるということです。
6. REAPERで作業
本節では、「あ」という音をC4に合わせたものを使用します。
このREAPERというソフト、意味が分からないことにShiftキーを押しながら0を押すと音程を半音上げられ、9を押すと半音下げれます。 つまり、すでにC4に合わせた「あ」を使って、他の音程の「あ」を簡単に作れるわけです。
したがって、4、5、6の技術を合わせると、手軽に歌わせることができるわけです。
試しに、「あ」の音を使って私が10月度n時間DTMで制作した曲のAメロを歌わせてみましょう。軽くコンプレッサーとリバーブのエフェクトをかけてあります。
これに先ほどの母音子音の話を合わせれば、自由に歌わせることができるというわけです。
ただ…全然言い訳なんですけど、このアドカレ突貫工事すぎて母音子音付きの音源つくるまで辿り着きませんでした。申し訳ないです。 かわりにドラムをつくったので許してください。「k」からキックとスネアを、「s」からハイハットを錬成しました。
やかましいですね。
元音源にドラムはないですが。
7. おわりに
今回は私なりに自分の声で遊ぶ方法をご紹介しました。本当はもうちょっといいものをお届けしたかったのですが、先に申し上げたとおり、このアドカレが突貫工事であるかつ、私の知見はそこまで深いものではないので…
こういう記事をちゃんと書くのは初めてなので、内容があっちこっちいってしまって拙い記事で申し訳ないです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
5日目の記事はyufureさんの偶然重なりすぎてて笑う特急です。お楽しみに!
※リンク先は12/5中に公開予定です。